<2024年93杯目>
閉店を告げられた時、死刑を宣告されたような衝撃でした。
告知がされるや否や、お店には”最後の一杯”を求めるお客さんが殺到し、混乱。
予約制になるも、そのチケットを求めて、さらに混乱・・・
遠藤さんの話では朝の5時ごろに到着すると、すでに長蛇の列ができていて、残り僅かのチケットをギリギリ入手できたそうです。
わたしも半ば諦めていましたが、遠藤さんのおかげで、”最後の一杯”に辿り着くことが出来ました。
ここに一枚の写真がある。
2016年3月1日のオープンの日の写真。
人知れず、ひっそりとオープンしたので、初日の写真は貴重かもしれません。
この日のことは、私もよく覚えていますが、お客さんもほとんど入っていませんでした。
店主のお母さまが「恥ずかしいから」と製麺室に隠れていた話を聞いたときは、思わず”ほっこり”して笑ってしまいました。
それから、数か月もしないうちに口コミが広がり、あっという間に人気店へと駆け上っていった様は、いまでも語り草です。
ラーメン好きの私ですが、店主と諍いがあったこともありました。
わたしが「担担麺」と頼んだ時、何辛まで出来るか確認すると”5辛”まで対応しています、との返事がありました。
※オープン直後は”5辛”まで対応していました。
そこで、”5辛”を注文すると、丼を置くときに店主が酷薄な目つきで言いました。
「自分で頼んだのだから、スープまで飲み干してくださいね!」
(”5辛”を注文しておきながら、残すお客さんが多かったのでしょうね。)
わたしは、今まで、私がラーメンのスープを一度でも残したことがあっただろうか・・・と心の中で問いました。
そして、悲しさと、悔しさと、怒りの入り混じった感情で、あっという間に「担担麺」をスープまで飲み干し、ドンとカウンターに置いて、さっさと帰りました。
並みのラーメン店なら、ここで通わなくなるところですが、「もつけ」にすっかり魅せられていた私は、あくる日も食べに行きました。
すると、店主が「ああでもない、こうでもない」とラーメンについて話してくれるようになりました。
たぶん、あの一件で、店主も私のことを認めてくれたのかなと、勝手に思っています。
最後の一杯が来た。
麺を啜りながら、胸が躍るようなときめきと、胸をかきむしられるような切なさが、織物のように交差していた。
この味をこの舌に記憶させなければならない。
心にそう念じ、無心で食べ続けた。
食べ終わりそうになった時、わたしの胸は張り裂けそうになった。
これがラーメンだと思った。
そして、涙でラーメンが見えなくなった。
※2016年3月1日~2024年5月27日
もつけで食べた総杯数:159杯
満足度:★★★★★
店名:ほっこり中華そば もつけ
所在地:東京都八王子市万町34-1
ジャンル:中華そば、担々麺、限定など
麺:自家製麺
営業時間
[平日]
(昼の部)10:40分頃~15:00頃まで
定休日:火曜日・水曜日
席数:カウンター席のみ6席
駐車場:なし
禁煙・喫煙:完全禁煙
オープン日:2016年3月1日
受賞歴:2016年TRY新人賞(しょうゆ部門)3位、同(つけ麺部門)4位受賞、八王子お店大賞受賞。百名店。
Twitter:https://twitter.com/MiQ4x
備考:”もつけ”はお調子者の意味。限定ラーメンにも注目!